泳げないシナモン・・・ (おぼれた経験があるのだ)
体が小さくて高く飛べないシナモン
いたずら大好き。それを生きがいにしているシナモン
お客様の 「ピンポーン、ピンポーン」 を聞き、攻撃することに快感を感じているシナモン
盗み食いの達人 (達犬) のシナモン

まさにダメ犬という名がふさわしいシナモン。私にとって犬に何かを教えるという事は、空気を吸って吐く様なもの。
しかし今回の 「TVチャンピオン」 のルールには、シナモンにとって色々な部分でハンデがあったのだ。
特に 「高飛び」。
この競技のルールには打ち合わせの時からまいってしまった。
犬の大きさが全く違うのにハンデが無いのだ。 「前回のダメ犬しつけ王」 の時は犬の大きさでハンデがあったのに・・・・・ 今回は全く無いのだ。
ボルゾイは体高 90cm位あり、ダルメシアンは 65cm位ある。しかもこの2犬種は高く飛べる特性を生まれながらにして持っている。
シナモンは体高 52cm位。ボルゾイとは 40cm位の差があるのだ。
しかもラブラドール・レトリバーは高く飛ぶのは苦手な犬種なのだ。正直なところ私は、この高飛びでは絶対に勝てないと思っていた。
だからその分、「水泳」 と 「お留守番」 の種目に力を入れることにした。

「水泳」 の練習でも、秋の冷たい水のプールで私は寒さ・冷たさを超えた世界でクチビルを真っ青にし、日が暮れる頃までシナモンと何度も何度も練習をした。
「お留守番」 では、どんな誘惑が来ても 3時間以上落ち着いて穏やかに待っていられるように教えた。
高飛びで勝てないシナモンが負けるわけには行かないのだ。
しかし、高飛びだけはどうしても勝つイメージがわかなかった。頭の中に浮かぶイメージは、ボルゾイは 1m20cm以上・・・
ダルメシアンは 1m以上・・・
は楽に飛び、シナモンは 80cmを何とかクリアする姿しか浮かんでこなかった。
32年間、数え切れない程の犬と、様々な犬種のしつけ・トレーニング・訓練をして、その犬の特性・才能を瞬時に見抜くことが出来る私でさえ、この種目では負ける姿しか浮かんでこなかった。
そこで私はこう考えた。
「高飛びは負けてもいい。その代わりシナモンに1mを楽しく飛ばせてあげられれば・・・」と。
それからは私の心の中で熱いものがおき、 「どんなハンデがあろうとベストを尽くす」 と心に決め、高飛びの練習を行った。
この高飛びにはテレビで映らなかった私の 「シナモンが絶対に間をはずさない試行錯誤の練習」 があったのだ。
しかも関節の弱いラブラドールが何度飛んでも関節を痛めることなく、足やしっぽをバーに引っ掛けることも無い究極の飛ばせ方を考え出した。
そして練習開始から 5日目には、1m10cmをパーフェクトに楽しく飛ぶシナモンがいたのだ。そして私は与えられたしつけ期間である 7日間のうち、全ての科目を 6日間で教え、シナモンには競技の日まで体を休ませる事にした。
私の耳にある情報が入ってきた。
「ボルゾイは恐怖で高く飛べない」
「ダルメシアンは75cm位しか飛べない」
その時、私の頭の中にパーフェクト優勝するシナモンの姿が浮かんできた。
いよいよ本番。競技の日。
私はこの高飛びに最大の神経を集中させていた。
ほんの 0コンマ数秒でも間をはずせば体の小さいシナモンはつまづいてしまうからだ。

テレビを観た皆さんも、パスをし続ける私に 「えーどうして?」 と思われたのではないかと思う。あれは私の作戦だった。
その作戦の一つに、関節の弱いラブラドールを何度も飛ばして負担をかけたくなかったのだ。
それともう一つ、1mまでならシナモンを楽々飛ばせてあげられる自信があったので、とりあえず 1mまではパスをしようと考えた。
場合によっては 1m10cmからチャレンジしようかとも思っていたのだ。
案の定、ボルゾイとダルメシアンは 70cmでつまづき失格になった。
その瞬間、私は勝利を確信した。
そして慎重にシナモンを飛ばせたのだ。